今日のフレーズは「roll up one’s sleeves」です。
意味:気合を入れる、(大事な仕事などの前に)準備をする、気を引き締める
実はこのフレーズにはちょっとした思い入れがあります。
結構前になりますが、私ともう一人の通訳者が同時通訳をしていたある会議で、発言者が「ふんどしを締めてかかります」と言いました。その瞬間私はパートナーの通訳者がどう訳すか気になり注意深く耳を澄ませました。パートナーの通訳者はその部分を「We’ll get more serious about it(さらに真剣に取り組んでいきます)」と訳しました。
もちろん「ふんどしの紐を締める」を文字通り直訳しても英語話者には通じませんので、言葉ではなく意味を伝えるのが通訳者の仕事なわけで、パートナー通訳者の訳はそういう意味でまったく問題なかったのですが、私個人としては、発言者がせっかく比喩的な表現を使ったのだから、自分が訳すとしたら、英語で同じような意味を持つ比喩的な表現を使いたいなと思いました。
そこで思いついたのが、このroll up one’s sleeves と、buckle down でした。
その日から、自分が通訳中に誰かが「ふんどしの紐を締める」と言ってくれないかなぁ~と思いながら日々通訳しています。でも残念ながらいまだにその場面に遭遇できていません 😥
まぁ、「気を引き締めて頑張ります。」みたいな時に使ったことがあるんですが、「ふんどしの紐を締める」で使いたい・・(笑)
YouGlish で「roll up my sleeves」を検索すると67件もあります。オバマ大統領や、ミシェル夫人も演説の中で使っている言い回しです。
海外ドラマから新しいイディオムを学ぶことももちろん多いですが、仕事や読んだ本、会話から新しい言葉に遭遇したときも、できるだけ海外ドラマのセリフと紐づけるようにしています。私の場合、海外ドラマが好きなせいか、その方が圧倒的に記憶の定着がいいんです 😉
なので、今回は仕事のために学んだ表現を海外ドラマのセリフで探すという逆の作業をしました。
1つ目は「ボストンリーガル」からです。
キャサリン・パイパーというおばあちゃんがコンビニエンスストアに銃をもって強盗に入ります。
逃げもせずに監視カメラに笑顔を向けた彼女はすぐに警察に捕まりますが、その際にアラン・ショアを呼ぶように警察に言います。
アランが彼女に会いに行くと、キャサリンは、強盗したのはアランのせいだと言い出します。自分が解雇された時にアランが秘書として雇ってくれるというから信じていたのに何の音沙汰もなかったせいだと。
責任を感じたアランは、コンビニの店主にBMWの新車をプレゼントするから起訴しないでくれと丸め込み、彼女に3000ドルの小切手もあげます。それなのに彼女の問題行動はやみません。また別の店に強盗に入り、そこでも監視カメラに向かって手を振ります。
アランが留置所にいるキャサリンに会いにきたシーンです。
Catherine Piper: I certainly have a lack of, of impulse control. I must have ADD or OCD. Oh one of those other letter things. But I don’t want you to think I’m not aware of the hole we’re in. I get it! That’s why I want you to know I’m willing to roll up my sleeves and, and work with you on this. Maybe we can set up a little office for me at the firm? (衝動が抑えられないのよ。きっとADD(注意欠陥障害)かOCD(強迫性障害)なのよ。もしくはそんな感じの何かよ。でもね、自分がまずい状態に陥ってるってことがわかっていないわけじゃないの。わかってるのよ!だから、これからはちゃんと気を引き締めて、あなたと一緒にこの問題に取り組んでいこうと思ってるわ。だからあなたの事務所の一角に私のための場所を作ってくれない?)
結局はキャサリンは寂しくて構ってほしかったってことなんでしょうね 😛
次は「モダンファミリー」のフィルのセリフです。
いきなり地震がきて、家具が倒れ家の中はめちゃくちゃに。以前からクレアに地震がおきたときに家具が倒れて子供が怪我をしたら大変だから、家具を壁に固定してと何度も言われていたにも関わらず、面倒なのでやらずにいたフィルは、とうとう面倒になってやってもいないのに「もうやった」と言ってしまいました。
でも実際はやっていなかったので、地震後の家の中はめちゃくちゃです。その話をフィルがモキュメンタリーで話している時のセリフです。
Phil : For months, Claire has been after me and dogging me… “what if we have an earthquake? We’ve got kids in the house.” Blah blah blah. So it finally reached the point where I had no choice but to just roll up my sleeves and tell her I did it. (もう何か月もずっとクレアにしつこく言われてたんだ。『地震がきたらどうするの?子供がいるのよ。』なんちゃらかんちゃら・・もうしょうがないから決心して言ったんだ『もうやったよ』って。)
実は「モダンファミリー」の方は結構前に見つけましたが、なんとなくしっくりくるぴったりの使用例ではないなぁと感じてメモりはしたものの放置してました。「気合いれてやった」ならわかるんですが、「気合いれて嘘ついた」ってよくわかんない・・・と思ったので。
でもネイティブはこういう使い方もするんだという例で紹介することにしました。